錦町の地域ブランドを作る。町の農業の課題解決に挑戦する生産者

本記事は、熊本県錦町の桑原農園を紹介します。農薬や化学肥料を使わずに栽培された自然薯やにんにくなどの農作物を生産し、地域ブランドを作る取り組みや課題解決への挑戦が語られています。

1.桑原様お写真.jpg

桑原農園(自然薯のくわはら)
桑原崇さん

熊本県南部に位置する錦町。
昼夜の寒暖差が激しい人吉盆地に位置し、雄大な球磨川が流れるすぐ近くで、にんにくや自然薯など様々な食材を栽培されている「桑原農園(自然薯のくわはら)」の桑原崇さん。

「錦町の農業の地域ブランドを、周りの生産者や自治体を巻き込んで作っていきたい。」と語る桑原さんに、食材へのこだわりや錦町の農業への想いを伺いました。

農薬、除草剤、化学肥料一切不使用。こだわりが詰まった桑原さんのにんにく

2.生にんにく2.jpg

5月に収穫を迎える桑原さんのにんにくは「上海早生」という品種のものです。
にんにくの生産地として有名な青森県で栽培されているものとは異なる品種で、国産の上海早生の流通量は非常に少ないそう。

「桑原農園の上海早生は甘みがあり、味わいがマイルドです。加熱すると臭いが比較的気にならないのも特徴です。 」

また、おすすめの調理法を伺ったところ
「生にんにくは天ぷらが最高に美味しいです。ホイル焼きやアヒージョもおすすめで、スライスせずにまるっと使った方がみずみずしい新鮮な味わいが感じられます。」
と、私たちの知らないにんにくの食べ方を次々と教えてくださいました。

いずれの調理方法においてもとっても美味しくいただけそうです…!

3.縺ォ繧薙↓縺上・繧「繝偵・繧ク繝ァA.jpeg 3.にんにくのホイル焼き.jpg

桑原農園さんのにんにくの購入者様がごちレポに投稿いただいた料理のお写真です。ごちレポでは「ホクホクして美味い!またニンニク臭が少ないのもありがたいです。」「よい香りと甘味があり美味しかったです。」と好評をいただいています。

桑原さんのにんにくを是非食べてみたい!という方は、本ページの最後に商品一覧を掲載しておりますので、是非チェックしてみてください。
5月末頃まではフレッシュな生にんにくを、6月以降は長期保存も可能な外皮が乾燥されたにんにくを販売予定です。

にんにくの収穫までの流れとは?

ここで、にんにくの栽培にはどれ程の手間がかかっているのかお聞きしました。
収穫までの手順を大まかに分けただけでも全部で7工程!なんと、にんにくの収穫直後からすでに次の年の収穫に向けた準備が始まっているとのこと。

それぞれの手順を簡単に記載すると、
①土づくり:5月下旬~9月中旬ごろ
②種の準備:8月~9月中旬ごろ
③植え付け:9月下旬〜10月上旬
④肥料を与える:10月~4月(植え付け完了~収穫まで)
⑤草取り:11月~3月
⑥にんにく芽摘み:4月上旬~4月中旬
⑦収穫:4月下旬~5月上旬

5. にんにくの種.png

にんにくの種。種の植え付けを行ってから約7か月ほどという長期間をかけて育っていく。

このように収穫までたくさんの時間と作業が必要なにんにくへのこだわりについて、桑原さんはこう語ります。

「桑原農園のにんにくは国産の(農薬・化学肥料不使用の)自家種を使用し、農薬や除草剤、化学肥料は一切使っておりません。草取りも手作業で、にんにくが病気にならないように確認しながら丁寧に育てています。
また、元々田んぼの活用が多かった圃場であるため、土は粘土質で硬いですが、田んぼ独特の土の香り、ミネラルが含まれていることが人吉球磨地方ならではの特徴です。」

そんなこだわりが、他のにんにくではなかなか味わうことができない独自の甘みや味わいを生み出しているのだと想像できます。

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にんにく畑をバックに写る桑原さん。
ご自身の農園や食材について、非常にイキイキとお話しをされている姿が印象的でした。

農業に携わって気づいた桑原農園の商品価値

桑原さんが農業を始められたのは2015年頃。以前から農業を営んでいたご両親のお手伝いを続けていましたが、2018年頃からはご自身で本格的に農業に携わることになっていったそうです。

「きっかけは、東京で開催されたマルシェなどで販売してみた際、桑原農園の商品の価値に気づいたからだったと思います。」

また、インターネット販売に関してはもっと早くから取り組まれていました。
「元々ITエンジニアをしていてインターネットに関する知識があったので、農園のホームページを2009年に開設し、その次の段階として2011年にSNSとインターネットでの商品の販売を始めました。」

新型コロナの影響を受けて飲食店等の売り上げが落ち込むと予測していた桑原さんは、その知識を生かして産直ECサイトなどでの販売を強化し、困難を乗り越えてきました。
結果的には新型コロナ前よりも売り上げを伸ばすことができたとお話しをされており、今後の展開もますます楽しみになりました。

災害を乗り越える強さ

続いて、農業をしていて大変なことをお伺いすると「天候に左右されることですね。」と真っ先にお答えされた桑原さん。
圃場のそばを球磨川が流れており、令和2年7月豪雨で甚大な被害を受けたことの他に、台風や天候による被害をこれまで数多く経験されました。

6.球磨川(錦町).jpg

「豪雨災害などのリスクはありますが、それでも自然の恩恵を受けているので、良い作物は出来ます。」と前を向く桑原農園さん。

昔から育ててきた自然薯やお米、にんにくだけでなく、菊芋やアピオス、さらにはちみつまで幅広く生産を行っており、その言葉を裏付けています。

一方で、農業へのやりがいについては「お客様に喜んでもらえることが一番」と力を込めます。
「商品の注文だけではお客様がどう思われているのかは分からないですが、いろいろな料理の写真や感想を送っていただいたり、熊本に行ってみたいという声をいただけた瞬間は、本当にお客様が喜んでいると分かるのでとても嬉しいです。」

桑原さんのもとには数多くの”ごちレポ”が届いており、そのコメントが励みになっているとのことです。

錦町の農業への想い

インターネットなどでの販売を通じて、桑原農園のブランドが定着してきていると語る桑原さん。
さらに今後の展望として、錦町全体の農業についても語っていただきました。

「次のステップとして、周りの生産者を巻き込んで個の力では難しかった地域ブランドを自治体と連携して作っていけたらと思っています。

錦町には個性豊かな面白い生産者がたくさんいるので、インターネット販売の登録生産者を増やして、もっと錦町の食材を紹介してほしいです。
また農家の後継者問題も深刻なので、錦町のふるさと回帰事業と組み合わせて課題解決ができないかと考えているところです。そのためには、まずは錦町の農産物が注目を浴びなければならないので、地域ブランドづくりが最優先となってきます。」