そこには理由がある。『人』との繋がりが生む奇跡

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おおもりや 
大森翔太さん
大森智史さん

香川県多度津町。香川県仲多度郡に属し古くから海上・陸上交通の要所として栄え、空海ゆかりの地である海岸寺や、少林寺拳法の総本山金剛禅総本山少林寺を抱える歴史ある街です。

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この地にハウスを構えるのは、昨年収穫1年目にして2000箱のアスパラガスを全国のご家庭にお届けした、アスパラ農家のご兄弟。

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今回はこのような世情を鑑み、お忙しい農作業の合間を縫っていただき、テレビ電話での取材をさせて頂きました。

繋がった先は太陽の明るい光が際し込む新しい作業スペース。画面越しには忙しく梱包作業に勤しむ姿が映ります。全国のお客様から寄せられた沢山の期待に応えるべく、精力的に作業にあたる姿からはフレッシュなエネルギーが溢れる出るよう。

お話しくださったのはおおもりや代表の弟・翔太さんです。

歌手から一転アスパラガス農家になるまで

新規就農から今年で2年。驚異的なペースで成長を遂げるおおもりやさんですが、初めから農業に対して意識を持っていた訳ではないそう。

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「僕は元々シンガーソングライターの活動をしていたんです。大学の終わりからバンドで活動をしていて、卒業後もソロ活動をしていました。しかし思うようにはいかず。25歳の頃には生活の基盤が欲しいと思い始めます。」

ご実家には米農家を営んでいたお爺様の農地があり、お2人のお父様も休みの日に農業を行う兼業農家でした。

「あまり他人に従って生きるタイプではないので、起業をしたいと思いました。でも人より抜きん出るものは無いし、持っているものと言えば農地しかない。それに、地元で生きていくのだったら農業しかないと思いました。」

そう思い、話を聞きに行った農業機関で人生を変える出会いをします。この出会いがまさにお2人が農家の道を歩むきっかけとなったのです。

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「さぬきのめざめを作った農業試験場の男性と出会いました。それはこの男性が研究するさぬきのめざめが形になってきた時でもありました。

農業で一般的とされているルールは無視して、既存とは全く違う作り方をするような人。

昼過ぎから話を聞き始めたのかな、気がついたらいつの間にか夕方になっていました。そこまで夢中になって話を聞いていた自分に驚くと同時に、こんな熱量の高い人と一緒にやれたらどれだけ良いだろう、とそう思ったんです。

そして僕はその夜、集まった家族の前で宣言します。『アスパラするけん!』。土地を引き継ぐ権利すら持っていなかったのに、です。」

翔太さんのことを心配し、兼ねてより農業に関心を持っていた兄・智史さんも手を合せる形となり、兄弟のアスパラガス農家としての人生が始まります。

仲間の支え

農家として生きる。決意はしたもののアスパラガスの栽培はすぐに始められるものではありませんでした。

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「農地を持っていたと言っても、アスパラはハウス栽培。お爺さんがやっていた米とは、育て方が違います。まず、ハウスを建設しないことには始まらない。最初は国の補助で農業についての研修を受けられる農業インターンに参加して、学びながら資金を貯めました。

アスパラも、苗を植えてから収穫ができるようになるまで3年は必要。家族の前で宣言してから3年。僕はやると決めればすぐ始められると思っていたので、なかなかそうとも行かない現実にもやもやとした気持ちがありました。

そんな時期を耐えられたのは兄がいたからです。」

翔太さんとお話しをして垣間見えるのは、智史さんへの強い信頼です。

「兄はおおもりやのブレーン的存在です。情報収集を大切にしていて、毎日勉強をしている。今みたいに転職が当たり前ではなかった時代から、色々な仕事を経験してきていて、できる人なんです。ネットでの販売を始めた時も、初めての事だったけれど彼がいたら大丈夫。そう思っていました。農作業は一緒にしながら、事務は兄、僕はPRというように役割を分担しながらやっています。」

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そして心強いのがもう1人の仲間「アスパラ騎士」こと武内さんの存在。

「僕の大学の時の同級生です。昨年の3月から一緒に働いてくれています。元々は高知県で仕事をしながら、休みの日に作業を手伝いに来てくれていました。それを続けているうちに、気付いたら何だか家族のようになっていて。規模が大きくなったら一緒にやろうと話していたのですが、すぐに正社員として一緒に働くことになりました。」

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農家としての第一歩

2020年冬。ようやくアスパラが収穫できるようになったことを機に、農協への出荷と地元の飲食店への配達を始めます。

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「僕の家族は食べるのが好きで、物を買うよりも、美味しいものを食べることにお金を使う家族でした。仲がとても良くて、音楽をやっていたときから家族でよく外食していたんです。

その時の繋がりや人脈があり、僕らが好きなところ、アスパラを美味しくしてくれるお店に届けようと思ったんです。」

良質な素材に、シェフの手が施された料理。お2人の農家としての第一歩はここから始まりました。

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自ら掴んだ新しい繋がり

「飲食店への配達を始めてからすぐ、世の中がこんな状況になりました。どうしようかと考えたところ、ネットでの販売を始めようという話になり、OWLと出会いました。

最初は模索しながらです。出品してすぐには注文も入らず、きつかったです。でも、やっていくうちに、昔音楽で繋がったアーティストの方がラジオで紹介してくれて、そのファンの方が購入してくれて。それを見てどんなものかなと思った人がだんだんと頼んでくれて、美味しいからってリピートしてくれるようになったんです。

自分たちでも工夫して色んなアクションを起こして。『こうしたことでこうなった』『こうしなかったらこうなった』を元に勉強していきました。結果的には自分たちの力でお客様を見つけ、美味しいと繰り返し頼んで下さるお客様に出会うことが出来たので、苦労することができて良かったと思っています。」

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アスパラガスは多くの人に求められ、昨年は292日間休むことなく作業に明け暮れたお2人。その上、毎日の収穫作業は早朝5時に始まるといいます。

「でも僕には農業が仕事という感覚はありません。収穫に行きたくないと思った事もないです。飲みすぎた次の日はきついな…とは思いますけど(笑)お互いに思ったことを言いあって衝突することはありますが、本当に楽しく仕事しています。」

美味しいアスパラガスの秘訣

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おおもりやアスパラガスといえば、弾けるようにみずみずしく甘いアスパラガス。

早朝5時に収穫を始めるのもこの品質を保つためだとか。

「アスパラが溜め込んだその日の栄養を収穫後の呼吸で消耗させないようにします。日が出て気温が上がりきる前に頭にライトを着け収穫作業を行います。」

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そして、米農家であった先代から農地を受け継いで取り組んだのが土壌の改良。

「有機肥料だけではなく化学肥料を混ぜ合せることで、現代農業とのハイブリット化を目指します。極力農薬を使用しないオーガニックを心がけ、お届けしています。」

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そしてそして、アスパラガスの93%を構成している水。

「酒の醸造元が近くに酒蔵を構える程、僕たちがアスパラハウスを構える多度津町葛原は水が美味しいです。ハウスの近くには一千年以上前から大楠が自生する神社があります。

僕たちのアスパラが美味しいと言っていただけるのも、楠が大きく育つこの環境やその下に張り巡る地下水、御神域に湧き出る『八幡の恩湯』のおかげかもしれません。」

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新たな挑戦

昨年末、お2人は事業の規模を拡大するべく新たなプロジェクトに挑みます。

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「1年目はアスパラの読みをはずし、頂いていた注文をキャンセルさせて頂くことになってしまうことがありました。需要に供給が追い付いていなかったんです。

1月~2月はアスパラ栽培がお休みの時期。普通の農家はメインの農作物のシーズンではない時期は他の作物を育てたりして、色々なことをされていますよね。でも自分たちはアスパラしかやらない。

そこで、その間に規模を拡大させることを決意しました。」

それが「生産者をより身近に感じてもらう食の基地の新設」をテーマとしたクラウドファンディング。

訪れた人が生産者に会うことができ、食材が作られている畑を見ながら獲れたての食材を味わうことができる。そんなテーマを持ったスペースと、新たな雇用に耐え、鮮度と効率面を向上させる作業スペースの新設をゴールに掲げました。

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「元々は僕も兄もクラウドファンディングに対してあまり良いイメージを持っていなかったんです。だから自分たちがやることになるとは思ってもみなかった。

でもデニム兄弟という岡山県で瀬戸内のジーンズの作り手と売り手の距離を縮める活動をしているブランドに出会って、クラウドファンディングはお金だけでなく、『人』を集められる場であると学んだんです。

そして出来上がったものをただお見せするのではなく、その過程を見て頂いて一致団結できるような、皆さんのイベント的存在になったら最高だなと思いました。」

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美味しいアスパラガスを届けることを通して広がった人との繋がり。

集まった人々からの支援を得て、プロジェクトの集大成『ukijima』を完成させます。

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「本当に人に恵まれているな、と思いますね。僕が苦手なことは周りの人がやってくれたり、こうして応援してくれる人がいて。感謝しています。」

名前に決意を込めて

「さぬきのめざめも全国に広まってきて、さぬきのめざめを栽培するアスパラ農家も増えています。それと同時に、僕たちは品種に頼りたくないな、と思い始めました。だから商品にも『おおもりやアスパラガス』と名前をつけました。

これは僕たちの決意でもあります。

おおもりやアスパラガスは品質の良いものを良い価格でお届けする。これは揺らぐことなく続けていきます。」

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「新設したukijimaは今まで繋がったご縁を活かして、お返しする場所にしたいです。

例えば自分たちが美味しいと思った生産者を皆さまに紹介したい。そんな思いで、一角にマルシェをつくりました。アスパラしか生産していない僕らにとっても、他の生産者さんの色んな野菜が出品されると彩が良いですし、他の生産者さんにとっても販路が増えます。

また、来ていただいた方に無料で収穫体験をして頂き、僕たちから少しお話しさせて頂いたり、兄が調理したフードロスとなってしまうアスパラの裾を使ったピュレと、仲良し農家さんの季節のお野菜をスープにして召し上がって頂く。そんな体験もご用意しています。」

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「良いものをお届けし、香川でさぬきのめざめを栽培している兄弟がいると名前が広がる。そしてネットではOWLだけ、直売はukijimaだけでお客様にお届けできるという仕組みを継続していきたいと思っています。

アスパラ収穫1年目にしてコロナによる世界大恐慌を経験。それでも本当にたくさんのご縁を頂き、おおもりやとして成長できた1年になりました。大袈裟ではなくこれは奇跡だと思いました。本当に皆様のおかげです。

それでも奇跡には必ず理由がある。準備をして諦めず挑戦し続け、運も縁もひっさげ感謝を怠らず日々を健やかに過ごしていく。1箱でも多く皆様の食卓へお届けできますよう取り組んでいきます。」

これまでもこれからも、おおもりやさんの意識や行動の中には、一貫して"人との繋がり"があります。

与える人が与えられる。周囲の人との繋がりを大切にその人達にとって良いことをする、だから自分にも良いことが起こる。まさにこの言葉を体現しているかのようなおおもりやさんの姿勢に、奇跡の理由を感じました。

現在販売中の春芽は、太くて柔らかい芽が特徴。そして1度食べたら忘れられない主食級の存在感。

春の訪れを告げる、アスパラ兄弟のおおもりやアスパラガスをご堪能下さい。

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おおもりや
出品者さんのページ
Instagram @omoriya.asparagus

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訪問レポート
vol.1:転機は"色"への着目。ポップに心くすぐる、カラフルじゃがいもで繋がる輪
vol.2:河辺に流れる思い。大好きな町を元気にしたい
vol.3:おいしいを追求する父子の『作品』づくり
vol.4:”直接”届けたい!瀬戸内の幸と思いを箱一杯に詰め込んで
vol.5:農業は私がやりたいからやっている。向き合う中で見つけた答え

おおもりやさんの食材一覧